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地図と記号 2

 

 

昨日は終電で帰ったのかと思いましたが泊まった読者も居るのですね
まだ第1章が それも終わったのかどうかもわからないところですが
ちょっと気に入って貰えましたかね でもそのうちに気づくでしょう

 

「どうもこの文章は初めてお目にかかったものじゃない とゆうよりもこの一節そっくりもう読んだような気がする」
もちろんそうですよ モチーフは繰り返されるのです この断片は 断片とゆうからにはこうした反復で織りなされており それが時の揺蕩を表現するのに役立っているのです しかも第1章の次が第2章でなくても良いのです デジャヴュではなくて ヴュジャデをこれからお目にかけようとゆうことです 作者は Condensed novel を書こうとしているのではなく 自動書記官としての私(ラクタでも良い)が Trick star であるだけです
私の制服の中身がカラッポであることはお見せしたと思います 今別な頁をクリックしましたか スマホを放り投げては壊れますよ あなたが衝動的な人間であることも知っていますがあなたは自分を抑えたわけだ あなたを一層イラ奥平させるのは 物語や人間の行為における偶発性 偶然性 蓋然性に自分が振り回されているとゆうこと また自分や他人の不注意 いい加減さ 正確さの欠如のせいだとゆうことです こうしたバワイにあなたを支配する感情はそうした無秩序あるいは不注意がもたらした攪乱的な要素を一刻も早く消去し 自体の正常な流れを回復したいとゆう気持ちです 次の展開が待ち遠しいですか しかしあなたは待たなければならない 男性読者と女性読者は既に図書館で出会ったようです しかし図書館は移転します 再び出会うためには何が必要ですか

 

 第2章

 

 あなたはどうしますか

 

━─━─━囗━─━─━─━─━─━─━
       ↓

 

 1 駅を出る
 2 西へ行く
 3 北へ行く
 4 東へ行く
 5 ミナミへ行く

2-2

 時計がコンコンと振動しました

 メッセンジャーの画面には 「1」と通知されています
 しかしある時点で まだ時計は持っていなかったのです

 さっそく針を戻してみましょう

 これにはデジタル時計でありながら竜頭がついています

 女性読者が X であり男性読者が Y であるとゆうことは
 これは座標であるともゆえます その交点は何処なのか

 まずは地下道を通って「井戸時計店」へ向かいましょう
 冒険にはアイテムが必要です ボルタック商店でもある

2-3 分岐1

 

 駅は発着する

 別れの場でもあり出会いの場でもあり再会の場でもある

 

 しかしここにも新たな読者が参加していくであるようにものづくりは常に参加型なのだ それには産・官・学を揃えれば良いと思うのだ 金儲けの話が匂ってくれば「産」は勝手に寄ってくる 陳情するだけで「官」はいごくとは思えない 問題は「学」である 知だけで街が出来るほどこの街は洒落ていない 血と汗と涙ではなく若者と馬鹿者と余所者が必要だ

 

 わかものがひつようなのはとうぜんである

 ばかものとはなにかにそれほどばかになれるかとゆうことだ

 よそものとはいちどよそからながめてみればわかるとゆうことだ

 

 若者がどんどん出て行くばかりではどうするのだ 彼等が帰ってきたくなる場を設けようではないか 年寄りは口を出す前に金を出しなさい 出世返しで良いからジェニ儲けの店を開いてみないか アイデアはあっても先立つものと箱が欲しくないかね 素人演芸館よりもだ

 

 男は夜の巷に出かけるナメクジのようなものである 女だって出ていきたいだろう おしゃべりしまくり千代子のビュッフェを造って欲しくないか 安価な駐車場も必須だが託児所があってもいい

 

 他に何が欲しいのだ

2-3 分岐2

 

 前例がないとゆうのは単なる逃げである 消化ゲームしか考えていない役人的発想 常識の上位である良識などもこの際どうでも良い 識などとゆう言葉はどこかの仏教徒の発想である

 

 「三島さん そりゃ阿頼耶識ではなくて皿屋敷でしょう」

 

 コモンセンスの対義語はノンセンスではなくシュールである

 ここにはセンスある住民はいない とはいいたくないのだが

 

 いなければ集めればいいだろう

 

 いなければ集まってくればいいのだ

2-3 本線

 

 位置を聞いて住を知る

 ボルタック商店は何処

 

 「主人 なんて本を売りつけるのだ いいところで乱丁が」

 「ああ あなたもですか 分岐は別に乱丁ではないですよ」

 「とりやえず われわれはイラムの本の続きが読みたいの」

 「わかりました ここに時の砂を封じ込めた剣があります」

 「それは良い プリペルだな いくらか」

 「あら それは元もとあたしの持ち物よ」

 「をや あなたはどこかで前にお目にかかったかな」

 「まぁ あたしもどこかで前にお見かけしたような」

 

 とまーこのように男性読者と女性読者はネタを仲立ちに連帯意識も結びつきも絆を結び合うのは簡単なことである 人生から何かを期待しうる年齢はもう終わったと思っていたあなたは満足してボルタック商店を出る あなたは二つの異なった だがともに楽しい希望の日々を約束してくれる期待を手にしている ほらそこに既に切符を持って居るではないですか

 

 でわそれで頁をめくりましょう

 

 車が待っています

2-4-1

 

 車がまいりました

 

 以前から予定していた場所へ向かいます まずそこにあるのは 虚空 です

 オン バザラ アラタンノウ オンタラク ソワカ

 ノウボウ アキャシャ ギャラバヤ オン アリキャ マリ ボリ ソワカ

 

 ここへ行くのは智慧と福徳と技芸と歌舞音曲の奥義と免許と威徳を祈願するためです

 ここであなたはアイテムを一つ得ます

 

 帰りの橋から振り向いてはいけません

2-4-2

 

 次に向かうのは 庭 です

 例えば池は庭木に劣らず庭の重要な要素です 通常二つのタイプがあり ひとつでは水が流れ もう一方では澱んでいて それぞれが異なる眺望を生み それぞれが異なる精神状態に合わせて調整されています しばしば庭は詩の対象になります 庭は詩の挿絵として 詩は庭の註釈として作られています この推論の対称性は興味深いところですが 実際にはあまり役に立たない 空間が生み出す変容には時が生み出す変容も付け加えられます それは移ろいです 空間の方はどうでしょう それは踏み石を一歩一歩歩めば視点が変わりますね 歩くということはその一歩ごとに世界は何らかの様相を変えます 客たちは細い道を歩き 床几で歩を休め 木々を眺め 格子戸をくぐり 岩に穿った水盤で手を洗い ようやく茶室の入り口に着くのです

 

 「こうした庭はお好きですか」とガイドが尋ねる「私はこの庭の完璧な調和とゆうものが何世紀にもわたる無数の人びとの悲惨さの代償に思えてならないのです」

 「でも文化とはいつもそうしたものの代償ではないか」と私は反論する「この庭は歴史が別の法則に応ずるものであって欲しいとゆう願いによって生み出された『別の歴史空間』としてみるべきでしょう 別の空間 別の時間の提示として 世界を覆う喧噪と狂熱の全き支配も衝き崩し得るのだとゆう表明として」

 

 庭の池は睡蓮が一面に覆っていました あなたはそのひとつの華を毟り取り私に食べろと差し出します さきほどまでの通り雨も上がり 寺の庭の砂利ほどもある大粒の白砂が月光を反射していました 月の姿をも倍加させる魅惑はひとつの詩を思い出させます

 

 「ある夕方 お月様がポケットの中へ自分を入れて歩いてゐた 坂道で靴のひもがとけた 結ばうとしてうつ向くとポケットからお月様がころがり出て 俄雨に濡れたアスファルトの上を ころころころころとどこまでもころがって行った お月様は追っかけたが お月様は加速度でころんでゆくので お月様とお月様との間隔が次第に遠くなった かうしてお月様はズーと下方の青い靄の中へ自分を見失ってしまった」

 

 その時ちょうど私の靴の紐が解けました

 

 こうすればほどけない結び方があるのよ

 と あなたは私の前にひざまずいて

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