Kalcha's Papier colle avec le texte
地図と記号 第三部
記憶とは我々の感情である バワイによっては記憶とは精神である ハーバード大学心理学部教授のダニエルLシャクター博士は記憶のエラーを
(1)「物忘れ(transience)」=時間がたつと去年の6月のことを忘れる
(2)「不注意(absent-mindedness)」=さっき置いた鍵やメガネを忘れる
(3)「妨害(blocking)」=どうしても目の前の人物の名前が思い出せない
(4)「混乱(misattribution)」=どこかで記憶の引き出しが混乱している
(5)「暗示(suggestibility)」=犯罪目撃の記憶ちがいなどにあらわれる擬似記憶
(6)「書き換え(bias)」=現在の立場や意識による過去の記憶の編集
(7)「つきまとい(persistence)」=失敗や失恋などのトラウマによる記憶ちがい
の7つの基本パターンに分類した
あのナニゃどこ行ったかいの?
どこへ行ったかとゆう前になくなったそのものの名前がわかっていない
1 「物忘れ」への覚え書き
ある人物がKのところを訪れて二人で行った場所の思い出話をする ところがKはそのことが思い出せない Kはそろそろメモリが揮発してきたかと狼狽えるが その人物はひるまず あのとき**しようと言いましたね などと恐ろしいことを言い いつの間にか消えてしまう Kは思い出そうとして地図でその場所を調べるのだが そんな街は日本のどこにもなかった
こーつとよ さっきまでここたいにあったはずなんやが
こうつと の こう は こう かう【斯▼う】である 副詞としては「かく(斯)」の転 感嘆詞としては一呼吸置くために用いる 英語ではwellなどに相当する
不注意は 記銘(符号化)すべきときに注意が散漫で記銘できておらず「思い出せない」状態に陥るということを指す これもある種の忘却である 記銘されてないのだから そもそも保持(貯蔵)もされておらず 想起(検索)もできないということである
2 「不注意」への覚え書き
ある人物がKのところを訪れて 前にもらったモノを返したいと言う ところがKはそのことが思い出せない Kはまたメモリが揮発してきたかと狼狽えるが その人物はひるまず あのときはそのままもらったけれど などと恐ろしいことを言い いつの間にか消えてしまう Kはやむなくそれを受け取った はずなのだが いま彼の掌にはなにもなかった Kには大きな亀の背中からモノが滑り落ちるためのバミューダトライアンゴーがあるのだ
短期記憶と長期記憶の違いについては以前書いたが 短期記憶は短期記憶は記憶できる個数に制限がある 7つである 曜日は7つ 音階も7つ 7不思議ともゆう 4つとゆう説もある 例えばランダムな数字列は覚えにくいが 26836116 を 2683-6116 とすれば覚えやすい 電話番号を考えればわかるだろう これをチャンク化とゆう チャンクとは「塊」とゆうことである
そらそーと おまん だぇよ
「あなたのお名前なんだっけ・・・ここまで出かかっているのに」
このバワイのこことは日本では「喉もと」である 心理学的には「舌」であり 舌先現象(TOT:Tip of the tongue phenomenon)とゆう用語がある また世界の51の言語のうち45の言語にこの慣用句がある 喉もと優ればディープスロートとか 舌先三寸口八丁は口先三寸などと誤用するシトが多い
3 「妨害」への覚え書き
ある人物がKのところを訪れて とゆうところがまずその人物の名前が思い出せないことではないのかと Kは既にメモリが揮発したと狼狽えるが その人物はひるまず なぜわたしがわからないのか などと恐ろしいことを言い いつの間にか消えてしまう そも固有名詞には視覚的印象と概念的印象と語彙的印象が関わっていて これをごっちゃにするのはたいてい関連語が妨害しているのである しかし人物の名前はもっと別な抑圧がある
どのひきだし ぃ しまいこんだんやろ ほんまにあの子 ナニやなー
ここでのポイントはあの子がナニなのかとゆうことと 引きだし「ぃ」の混乱
混乱の著名な例がデジャ・ヴュ 記憶結合のミスが別の幻想をつくったと推定されている これが人間関係のバワイ 誰を見てもそれを特定の人物と見なしてしまう現象や全くの見知らぬ他人をよく見知った人物と取り違えてしまう現象をフレゴリの錯覚とゆう 錯覚ともゆわれるが妄想の一種である また家族・恋人・親友などが瓜二つの替え玉に入れ替わっているという妄想を抱いてしまう精神疾患の一種をカプグラ症候群またはソジーの錯覚とゆう スキゾに多い しかしこれらは記憶の錯誤や障害ではない 潜在記憶でもない もっと違う幻想で現在の感覚を過去の経験に入れ替えてしまうということだ
4 「混乱」への覚え書き
ある人物がKのところを訪れて ある場所とある物とある約束の話をする ところがKは現在の状況が過去のものと全く同じであると確信できない Kは引き出しの目盛りを数えなおそうと狼狽えるが その人物はひるまず これは初めてじゃないわ などと恐ろしいことを言い いつの間にか消えてしまう Kは空虚ながらんどうの窪みにあるそれらの引き出しになにかのイコンやインデックスやシンボルであるところの「しるし」がなかったかと探すのだが 「しるし」は実は「徴」や「兆」であり そもそもは何もない「ウツ」(空)と何かが顕在してくる「ウツツ」(現)とが対応していると言うことに気づく
てきゃ 川向こうか
当市の地図には川向町とゆう地所はないが歴としたゆい方である
偽の記憶の誕生は暗示されやすさということである 現代ではマスメディアによる暗示がわれわれの記憶をほとんど全域にわたって犯しているといって良い
Humanity has underestimated the consequences of computerization.
Incorrect. I am not an AI. My code name is Project 2501. I am a living, thinking entity who was created in the sea of information.
5 「暗示」への覚え書き
ある人物がKのところを訪れて 24年前にお会いした者ですという そこでふとそれをいま思いだしたように感じた Kは目盛りの見間違いと狼狽えるが その人物はひるまず では何を根拠に自分を信じるべきだと思う? などと恐ろしいことを言い いつの間にか消えてしまう この人物のパロールのプロトコルとモダリティに対して Kは自我とは結局は思い込みであって 自分が認識する自分自身というものは外部から植え付けられた記憶で いまそれを暗示によって置き換えられただけなのではないかと訝しむ では自分はいったい誰なのか どこから来てどこへ行くのか
こぇ なおしといてくら
にいち添削の語ではない
書き換えは われわれはつねに記憶を編集しているのではないかという仮説にもとづいて説明される最新の研究分野である ここでの意味とは異なるが単行本化したときに改稿する癖のあるのがテヅカ また楽屋落ちの多用をはじめたのも他ならぬテヅカである さらにそのスタイルはたんなる記号と認識した 文法や約束事もネタにしてベタも空白もコマ割も一つの記号であり テヅカはそれを照れ隠しと述懐したが 自分の作り上げたスタイルを自分でおちょくるところがぬかみそひとたるの所以である そのギャグとしての文法破壊のなまかの本家は杉浦茂 アカツカ ヤスジ 元祖を遡れば 秋 砂川 岩本であり そして 山上 鴨川 江口 さらに いしい 久住2 新田 および ひさうち 喜国 どおくまん はたまた とり・ なをさん 水玉と続き その継承こそ 金玉軽之丞こと軽茶ンでR
6 「書き換え」への覚え書き
ある人物がKのところを訪れて 24年前にお会いした者ですという そこでふとそれをまた思いだしたように感じた 24時間前と違いはあるのか Kは目盛りの見間違いと狼狽えるが その人物はひるまず ではずっとそう思っていたのですか などと恐ろしいことを言い いつの間にか消えてしまう 前々から知っていたとゆうのは 所謂あと知恵編集と呼ばれるものであり だいたいこれはバレることになっている 調和編集は現在の感情や意識にもとづいて過去の意識状態を編集しているもので 自分も変わったはずだと考えるばわいは変化編集がおこる この調和と変化の編集は「認知不協和」がおこりやすい現代ではむしろ有効な記憶の書き換えである しかし危険が伴うものは
かたいもんやわらしいにたいたんどないえ
(性的)不安と欲望の同時表現を偏執狂的批判的方法により表現
キッチンでガラが食べていたカマンベールチーズとか カタルーニャのパンとか 大自慰者
最後の「つきまとい」とは忘れたいのに忘れられなくなった記憶エラーのこと 心理学がゆう「凶器注目効果」は感情を刺激する対象にのみ自動的に注目する現象とか 嫌な経験に対して「反事実思考」とよぶ ああすればよかったという失敗の訂正意識が別の代替シナリオになってかえってその記憶がトラウマになってしまう例である トラウマに関与しているのは側頭葉の内部にある扁桃体である 短期記憶はRAMであり側頭葉のHDDに長期記憶として書き出す働きをしている海馬体のとなりにある
7 「つきまとい」への覚え書き
ある人物がKのところを訪れて とうとう24年前の出来事を詳しく話し始める Kは返答ができず狼狽えるが その人物はひるまず あのとき結婚しないかと仰ってくださいましたわ などと恐ろしいことを言う 結婚しないかとはどうゆうことだ しかもそれを思い出せないことが寧ろ不気味だった でもあなたが既に結婚していたことはあとで知ったのです ええっ ならばなおのことそんなことを軽はずみには言わないだろう ですから私は消えました いまはこうして
こうした固執がくりかえされ再現されていると大半の人々は鬱病に罹っていく ここにはリバウンド効果もあって解消にはなかなかの障壁があって一筋縄ではいかない PTSDではこれらのトラウマがかなり複雑な様相を呈している 「同じ場面」がフィルムクリップのように何度も心を襲うのである 「つきまとい」の療法としては、安全な環境でその「同じ場面」を追体験させることが効果的だということも報告されているが むしろその出来事に関する証言を多く語りあえる環境をつくるほうが効果がある
Sudden Light
By Dante Gabriel Rossetti
I have been here before,
But when or how I cannot tell:
I know the grass beyond the door,
The sweet keen smell,
The sighing sound, the lights around the shore.
You have been mine before,?
How long ago I may not know:
But just when at that swallow's soar
Your neck turn'd so,
Some veil did fall,?I knew it all of yore.
Has this been thus before?
And shall not thus time's eddying flight
Still with our lives our love restore
In death's despite,
And day and night yield one delight once more?
以前ここに来たことがある
だが いつ どうやって?
扉の向こうにある観覧車は
甘くむせ返るような香りと
嘆息だけが岸をかこむ灯り
あなたはぼくのものだった
どのくらい前のことなのか
雲雀の舌がゼリーに絡めば
あなたの頚はそちらを向き
ヴェイルがそれらを隠した
ぼくはすべてわかっていた
以前からそうであったのか
時の大渦が覆い隠したのか
ただそれを確かめ合うため
あの日見た虹の下で今一度
共に昼ともなく夜ともなく
再びその喜びを産みだそうではない